・床材
フローリングが良いと思います。
費用の都合もありますので、無垢の・・とは申しませんが、できれば多少クッション性のあるものでしたら、万が一、お子さまが頭を打つような事故があったとしても大事には至りません。
子ども達は食事やおやつの時にも色々なものをこぼしますし、お漏らしもします。
具合が悪い時には、嘔吐も頻繁に起こります。
裸足のまま過ごすこともありますし、絵の具やクレヨンを落として汚すこともあるでしょう。
そんな時に、保育士が速やかに処理できて、いつでも清潔さを維持できること。
これはお子さまの健康を守る意味でもとても大事なことです。
万が一、カーペット敷きにしなければならない時は、部分的な汚れに対応できるタイルカーペットにすると良いでしょう。汚れた部分だけ、洗えばいいですよね。
・壁材
小さなお子さまが集団生活に入ると、数々の病気にかかり出します。それは自然なことですし、病気にかかること自体はある意味必要なことですので、仕方がありません。
これは、今までの経験からの提案ですが、もしも予算に余裕があるようでしたら、壁材には少しだけお金をかけていただきたいというのが私の意見です。
まずは、床から子ども達の手が届く高さ(1,000mm位)までは、汚れが拭き取りやすい(消毒が可能な)素材にすること。
その上部の壁紙は抗菌仕様のものを選ぶこと。
これだけで、かなり伝染病の感染を抑えることができます。
保育室と乳児室を別にする場合は、乳児室のみだけでもOK。
壁紙は余分な装飾や凹凸、色、デザインがついているものではなく、ごく普通のもので良いと思います。
子ども達の作品や絵が一番映えますよね。
・天井材
ごく一般的なもので良いと思います。
時々、天井に空や海、お花畑などのクロスを貼っている保育室(託児室)を目にします。
顧客専用の一時保育の託児室でしたら考えられなくもないですが、事業所内保育施設はお子さまが長い時間毎日過ごす〝生活の場〟ですので、シンプルなのが一番です。
お昼寝の時などに天井に装飾があれば気が散ってなかなか寝付けません。
空間を広く見せるという点で壁紙と一体化したクロスか、普通の天井材で十分だと思います。
・カーテン
保育室のカーテン選びほど難しいものはありません。
その保育室のイメージはカーテンで決まると言って間違いはないでしょう。
カーテン次第でクールにもなるし、温かな雰囲気にもなるし、幼稚なイメージにもなる。
私はよく「このような色柄は普通使いませんよ。」と業者さんに言われてしまうのですが、子ども達の前向きな思考と、色彩感覚を育てる意味も含めて、明るさと温かさを大切にしてファブリックを選びます。具体的に言うと、オレンジ、黄、クリーム、黄緑などの暖色系でしょうか。
設置企業のイメージカラーを指定される場合は、同じ色でもなるべくイエローベースを選びます。トーンをあわせると、統一感のある落ち着いた空間になると思います。
以上の床材、壁材、天井材、カーテンは、事業所内保育施設を2階以上に設置する場合、『
防災認定品』を使用する必要があります。(当社では1階の施設でも基本的に防災認定品を使用しています。)
特にカーテンなどは選択が限られます。
普通の生地をあとから防火処理をすることもできますが、洗濯後は再度防火処理をする必要があります。
承知して使用してくださいね。
・ドア
ドアは引き戸が基本。省スペースと、お子さまが手を挟むケガを防ぐためです。
しかし、お子さまの指は柔らかく細いため、引き戸の隙間に引き込まれることもあります。
その辺は十分注意してください。(私も時々やっちゃうんですけど・・)
ゆっくり静かに閉まる『引き戸クローザーつき』のドアにしてもいいかもしれませんね。
そして、ドアには上部に『サムターン錠』が必須です。
入園直後のお子さまはとても辛いので、ママを求めて鍵を開けて出て行こうとします。慣れたら慣れたで、今度は楽しくなって、興味津々で、自由気ままにどんどん外に出て行こうとします。
当たり前のことですが、小さな子ども達は、何が危ないのか、どうしたらケガをするのかを知りません。
保育士の目が離れたちょっとした瞬間に事故が起きるのが保育の現場。子どもの手が届かない高いところに鍵をつけるのは、「安全」を守る意味でも大切なことなのです。
平均的な大人の目線(1,400mm)より少し上、FL(フロアレベル)1,600mmを目安につけるのが良いでしょう。
また、保育士が外に出た時にも中にいる子ども達の様子を確認できるように、ドアには上部に窓をつけるのもお忘れなく。
その際、アクリルガラスにした方が「安全」です。
どうしてもガラスにしなければならない場合は、子どもがぶつかったり、地震でガラスが割れた時などに破片が飛び散らないように、強化ガラスにするか、飛散防止フィルムを貼るなどして下さい。
・窓
保育室には十分な採光が必要なため、窓の役割は重要です。が、同時に子ども達が落ちる、手を挟むなどの危険も伴います。そして、窓は大きければ良いというわけでもありません。
以前、全面ガラス張りの事業所内保育施設で保育を担当した時は、外から子ども達の姿が丸見えで危険を感じましたし、何といっても暑くて眩しすぎる!
設置企業の担当者に、すぐにプライバシーフィルムと、遮光・遮熱フィルムを張って頂くように要請しました。何でも良い加減が大切だということです。
窓は、高さがポイントです。
つまり、子ども達がよじ登れない高さ、床から1,000mm以上に設置します。
よじ登れなければ、落ちることもありません。
建物の構造上、低い位置に窓をつくらなければならない場合は、開き具合を子ども達の体がすり抜けない幅に制限をかけることが必要です。子ども達が施設内にいる時間だけで可。
窓に関しては、特に2階以上に施設を設置する場合に、より注意を払って下さい。
それともうひとつ。どこか1ヶ所は掃出しの窓にしましょう。
認可外保育施設は、出入口の他に、もうひとつ緊急時の避難経路を確保する意味で『非常口』が必要となります。
わざわざドアを作らなくても、掃出し窓があることで『非常口』とみなされますし、ドアよりも間口が広いので、いざという時に子ども達が避難しやすく「安全」です。
このような面でも、やはり事業所内保育施設は1階が最適ですね。
2階以上の施設の場合は、避難経路として使う階段等になるべく近い場所に、『非常口』になるドアを作って下さい。
玄関、トイレ、手洗い場、調理室、収納、お庭 ③ に続く >>
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