はじめにお読みください

HOME > 第2章 事業所内保育施設は こうつくる! ②運営 (2)保育運営

4.保育士の採用②

①採用基準は何といっても人間性
事業所内保育施設でお預かりするのは、0~2歳までの小さなお子さまが中心。
子ども達は、先生の「ことば」で動くのではなく、先生の「やっていること(態度や姿勢)」を見、マネをし、それを言動の根拠とします。ということは、小さなお子さまほど先生の人間性が影響し、そのまま子ども達の姿に反映するということです。

また、保育現場は先生方のチームワークが大切です。
そのためには、スムーズなコミュニケーションが欠かせません。ゆえに、保育の技量よりも、経験よりも、人として最低限のことが身に着いていることが、第一に求める資質だと考えます。
例えば、履歴書がきちんと書かれている、目を見て話せる、「はい。」と返事ができる、「すみません。」「ありがとうございます。」と普通に言える、適切な敬語が遣える、身だしなみが整っているなど、ごくごく当たり前のこと。特に難しいことではありません。

リスク管理の考え方を問う
保育士という職業柄、どうしても必要なスキルがあります。それはリスク管理。
子ども達を安全に、無事に保護者の元へ返すこと。それは最低限にして最大の目的だとお話しました。しかし、子ども達は、危険なことが大好きなのです。知らないことを知りたくてたまらない。だからやりたい。それがちょっと危ないことだって関係ないのです。
そして、その好奇心は子ども達の成長にとって、とっても大切なことなのですね。

保育士の役目は、〝子ども達の好奇心を十分に満たしながら、安全を確保する〟ことです。
そのための環境をいかに用意できるか?いうことです。そこが、保育士がプロだと言われる所以です。だからこそ保育士を採用する際、その考え方を私は必ず確認します。

面接時に、私がよく質問するお話があります。
「子ども達が木に登っています。とっても楽しそう。お友達同士声をかけながら、どんどん登っていきます。あなたは下で見守りながら、でもちょっと危ないなぁ。降りてこられるかしら?と思っています。そんな時に、あなたはどうしますか?」

以前、こんな保育士がいました。「子どもが落ちてから考えます。」
えっ!まさかって思いますか?いえいえ、実話ですよ。
面接の直前まで別の保育施設(認可保育園)で働いていた先生の答えでした。
でもこれには私もさすがに驚きましたね。

「気をつけてね!」と声をかけながら、目を離さず見守る。
他の先生に来てもらい、自分は子ども達と一緒に登りながら様子を見る。
そこそこのところで、一度止めさせる。

・・・など、様々なお答えを頂きましたが、果たしてどうするのが一番適切なのでしょう?
皆さんも考えてみて下さいね。

オープンな労働環境を意識する
今でこそ男性保育士も活躍していますが、それでもこの業界はまだまだ女性中心です。
限られた保育士と子ども達との保育環境は、どうしても閉鎖的になりがち。
それは、子ども達への判断や、接し方にも影響が及びます。
詳細は、次の保育士配置の方で述べますが、採用人数、雇用形態、指揮命令系統の徹底など、採用時から、意識した人材登用が必要です。

同条件で採用する
どの先生も最初は一生懸命頑張ろう!と思って応募してくれます。
保育士は、基本的に〝人のために〟という福祉の精神を持っている方々なので、その気持ちを活かし、心地よく長くお勤めしていただくためには、採用基準を同条件にすることが最も大切だと、今までの経験の中で実感しています。

例えば。当社が運営する事業所内保育施設の中に365日8:30~20:30まで開園している施設があります。GWも夏期、お正月も関係なく、先生方は保育にあたっています。
その時に、平日の昼間のごく限られた時間だけ仕事をしたいという先生はどうでしょう?
私は、月に1~2回程度土日はお仕事できませんか?祝日はダメですか?月に1回でも遅番はできませんか? とお話をします。基本的には、早番も遅番もできて、土日祝日お仕事ができる方がいいと思いますが、保育士不足のこのご時世、そんな先生は滅多にいませんから、やっぱりなるべく同じような条件に近づけていく努力をします。小さな偏りが、何かの拍子に不満の元となり、段々とチームワークを損ね、ひいては退職に繋がってしまうことが多々あるからです。

気をつけたいのは、条件の多い人を優先しないこと。これは絶対です。
とかく条件がなくて、いつでもいいですよ!と言ってくれる先生を多用しがちですが、私はこういう先生こそ、まずお休みを優先し、希望を聞いてシフトを組むことを心掛けています。

事業所内保育施設で働く保育士は、いわゆる世間のOLさんとは違います。
OLさんなら、急にお休みすることになっても、「今日は体調が悪いのでお休みします。」と一言会社に連絡を入れれば済みますが、保育士はそうではありません。
常に最低2名以上の保育士を配置しなければ、施設が開園できないのです。
誰かがお休みすれば、代替の保育士を立てなければならない。そういう意味でもチームワークが大切な職場で、ゆえに、初めからチームを意識した採用条件が必要だと言えるでしょう。

バランスが取れた年齢構成
先程、限られた保育士と子ども達の環境は、閉鎖的になりがちだとお話しました。
それを解消するひとつの方法として、幅広い年齢層の保育士を採用することがあります。
体力があって、子ども達と思いっきり遊んでくれる20代の先生、同じくらいのお子さまを持ち、共感を保育に活かす30代の先生、ママとしても、保育士としても最も安定感のある力を持つ40代の先生、余裕があり、穏やかで子ども達にも先生方にも大きな包容力を示す50代の先生・・・
できればどの年齢層の保育士も揃えておきたい。私が採用時に最も拘っていることです。


4.保育士の採用③ に続く >>
<< 4.保育士の採用① に戻る



7.1日の流れ
7.1日の流れ(2015-10-28 10:11)

6.保育士の教育
6.保育士の教育(2015-10-26 10:22)

5.保育士の配置
5.保育士の配置(2015-10-23 09:35)

4.保育士の採用③
4.保育士の採用③(2015-10-21 10:57)

4.保育士の採用①
4.保育士の採用①(2015-10-16 07:29)

3.保育士とは
3.保育士とは(2015-10-14 09:14)


  • 保育施設請負
  • よくあるご質問
  • お問い合わせ