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HOME > 第2章 事業所内保育施設は こうつくる! ②運営 (1)施設運営

1.関連法規と行政との関わり

事業所内保育施設の運営には、『施設運営』『保育運営』の2つの側面があります。
まずは、知識がなくてもマニュアルが作りやすい『施設運営』から説明していきましょう。

施設を運営するためには、様々な書類が必要となります。
その書類の根拠となるのが、各法律、省令、条例です。書類を運用していく中で、保育士が判りやすいように、扱いやすいようにと、内容を変更したい時も出てくるとは思いますが、その仕様も法律等に準じて行うことが大切です。

◇【児童福祉施設の設備及び運営に関する基準】第三十二条一第三十六条の三 保育所
こちらは、児童福祉法第四十五条第二項の規定に基づいて定められた児童福祉施設の最低基準施設の基本的な設備等(設備、職員、保育時間、保育内容、保護者との連絡、公正な選考、利用料など)が記されています。

これを踏まえて、認可外保育施設に適用される基準を示したものがこちら。
◇【認可外保育施設指導監督基準】
事業所内保育施設を開設、運営の際に参考にします。
保育従事者の規定、保育室の構造・設備・面積、災害措置、保育内容の基準とその考え方が広く浅く明示されており、行政の立入監査の際にもこれらの内容が中心となります。
しかし、初心者が読んだだけでは判らない部分も多いと思いますので、詳細についての質問は、各自治体の保育課などに確認すると良いでしょう。
また、実施要綱や書式は各自治体で定めたものがありますので、HPなどで確認して下さい。

事業所内保育施設を運営する上で、法令順守は基本です。
となると、ここで私がよく質問されるのが、行政との関わりです。
確かに認可外保育施設は届出対象施設と対象外施設が決められています。
大概は、乳幼児が6名以上とか、従業員以外の乳幼児の受入れが6名以上の施設が届出対象となっていますが、私は、お子さまを預かる全ての施設に届出をして頂きたいと思っています。

平成27年6月18日、1歳男児の死亡事故が起きたのは、つくば市の認可外保育施設でした。
県(政令指定都市であれば市)に届出をしていなかったことから、この事件が起き、男児を搬送した市の消防本部からの連絡で初めて担当課が施設の実態を把握したと報道されていました。
私は非常に残念な気持ちでこのニュースを聞いたことを思い出します。

厚生労働省が発表した「平成24年度 認可外保育施設の現況のとりまとめ」によると、全国の事業所内保育施設4,349ヵ所のうち、届出施設は625ヵ所。わずか14.3%しかありません。
ということは、殆どの施設が行政への届出なく運営していることになります。
じゃ、しなくていいんじゃないの?色々と面倒くさそうだし、ウチはそんなに大勢預かっていないし・・とお思いになりますか?

それでもなお、私は全施設に届出をして頂きたいと思います。なぜか?
ひとつは、『情報』です。行政に届出をしておくと、随時様々な情報が送られてきます。
子ども手当等の変更、予防接種の見合わせ、食中毒警報、伝染病拡大防止対策、乳幼児の死亡事故情報、法改正の説明会、発達支援事業の案内、行政主催の保育士研修の案内、不審者情報など、常にアンテナを張っていないと知りえないことや、地域保育行政の些細な動きなどをきめ細やかに情報提供してくれるのは、やはりその地域の担当者です。
そして、それはそのまま保護者への有効な情報提供にもなります。

そして、2年に1回程度行われる『立入調査(監査)』です。
確かに、調査(監査)と聞けば緊張もするし、構える気持ちがあるのは当然でしょう。
しかし、何も怖がることはありません。
2年の間には条例や規則が変更していることもあります。
毎日のことですから、段々慣れが出てきて、業務がおざなりになることもあるかもしれません。
だからこそ、時々部外者に公平な目でチェックしてもらうのは、日頃の業務の見直しができて、ありがたいことなのではないでしょうか。
その時に指摘されたことは直せばいいし、不足していたことは新たに加えればよい。
多少の不備があっても、即改善・休廃止命令が下されることはないのです。

行政の担当課の方々は、皆さんの力になってくれる頼もしい存在。安心してくださいね。
当社が運営する施設は全て届出を出していますが、今までどんなに助けられたか判りません。

改めて認識してください。私達は、唯一無二の大切な命を預かっているのだと。



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4.保育料の決め方(2015-09-25 07:29)


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