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HOME > 第2章 事業所内保育施設は こうつくる! ①施設

1.設置場所(立地)

事業所内保育施設の設置場所、これはとても大切です。
場所的には、会社の敷地内(78.6%)、会社の近く(12.4%)、社宅の敷地内(3.4%)が多いようですが、(経済産業省 平成21年度サービス産業生産性向上支援調査事業(事業所内保育施設等実態調査事業)報告書による)施設でお預かりするお子さまは殆どが0~2歳ですので、何といっても「安全」が第一!

まず、建物はお子さまの出入りがしやすい1階。入口の段差も低めに。
もちろんお子さまの「安全」が最優先ですが、1階にしておきたい理由がもうひとつあります。

第1章でもお話しましたが、事業所内保育施設は認可外保育施設ですので、厚生労働省の「認可外保育施設指導監督基準」に沿って運営することになります。その中には建物や環境の基準も示されているのですが、施設を2階以上に設置する場合は、その基準が高くなってくるのです。3階、4階と階が上がるにつれて基準は厳しくなりますので、やはりできれば1階が適当だと思います。

そして、公共交通機関での通勤は、保護者にもお子さまにも負担がかかりますので、できれば車で通勤できる場所がいいですね。ということは、駐車場がある程度必要になります。
ある会社が街中に移転したことに伴い、車通勤から公共交通機関通勤になったことで、事業所内保育施設の利用者が大幅に減少してニーズがなくなってしまったという例がありました。
この辺は従業員(保護者)目線からいうと、結構なポイントではないでしょうか。

また、施設が道路に面していないこと。
不特定多数の部外者からお子さまの姿がダイレクトに見えない方がいいのです。
以前、3方を道路で囲まれた施設があり、突然知らないおじさんが訪ねてきて、「ここに子ども達は何人いるの?」「毎日いるの?」「どこの保育園?」などと言われ、私達もとっても驚いたことがあります。人の目につくということは、不審者にも目につきやすいということです。
どうしても、道路に面した場所に設置しなければならない時は、大人の目線くらいの高さまで植樹をするなどして目かくしをしましょう。
施設の周りは、アスファルトよりもできれば熱や雨水を吸収する『土』がいいですね。
子ども達が転んでも、地面が『土』でしたら大きなケガにはつながりません。
あくまでも、お子さまの「安全」を優先した環境づくりを心掛けて下さい。

そうはいっても、事業所内保育施設が必要な会社は、都心や街中などオフィスビルがひしめく場所にあったりするもの。従業員(保護者)は当然公共交通機関での通勤ですし、地面が『土』なんてありえません。こんな贅沢な場所は確保できないよ!というご意見、十分判ります。

実際に街中で交通量も多い道に囲まれた大型オフィスビル内に、入居企業合同の保育施設をつくりたいという相談を受けたことがありましたが、その際に私が考えた条件は1つだけでした。
『緊急避難時にお子さまを連れて逃げられる場所に保育室を設置する。』
例えば1階、出入口の近く。警備室の隣。掃出しの窓がある部屋。
やむを得ず2階以上に設置しなければらないのでしたら、例えば避難はしごのある部屋。階段の近く。従業員や周辺の店舗などに大人が大勢いて、いざという時に助けてもらえる場所・・など。

事業所内保育施設でお預かりするお子さまの殆どは、まだまだ自立歩行が完璧でなく、ことばも理解できません。月1回の避難訓練は運営上の義務ですが、その際に、先生方は背中とお腹に赤ちゃんをおんぶし、抱え、まだ歩けないお子さまを避難車に乗せ、歩けるお子さまの手を引いて避難をします。それは皆さんが想像するよりもずっと時間もかかるし、大変なことなのです。

事業所内保育施設の最大の目的は、お子さまの命を守ること以外ありません。
それは、いざという時のために・・です。
だとしたら、最小限その部分を満たせる場所であれば良いのではないでしょうか。




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