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HOME > 第2章 事業所内保育施設は こうつくる! ①施設

玄関、トイレ、手洗い場、調理室、収納、お庭 ③

こちらは、保育室のPDFをご覧になりながら読んでいただくと、解りやすいと思います。

・玄関
保護者との申し送りなどで、瞬間的に人の密度が高くなる玄関。
特に従業員の勤務時間が同じだと、お子さまの送り迎えも重なります。
また、子ども達が自分で靴を脱ぎ履きしたり、靴箱にしまったり、上着をかけたり、身支度のしつけをする場所としても重要なので、なるべく広めに取るといいと思います。
子ども達が座って靴が履けるように段差は低めに。
ハンガーラックも、子ども達の手が届く高さ(約700~1,050mm)のものにします。私達は市販のものを使用する場合、通常のものでは高さが合わないので、押入用のラックを選んでいます。
どんな場所でも、保育士や子ども達の動線を考え、無駄な動きをしなくても良いように物を配置することが必要です。

・トイレ
お預かりするお子さまは、トイレトレーニングが必要な年齢です。
保育士の援助を受けながら、ズボンやオムツを脱ぎ、便器に座り、またオムツを履く。
トイレに行くたびに、とても手間と時間がかかります。
そして、規則正しくトイレに行く習慣をつけるため、同じ時間に全員で行います。
トイレトレーニングは、1・2歳児に最もしつけなければならない大切な生活習慣。
なので、トイレはなるべく余裕のある空間にしてあげるのが良いと思います。
3~5歳児の一時保育を受け入れる場合、この頃の年齢の子ども達はドアを締めたがるので、大人のトイレを併設しておくと、保育士と高年齢児とが兼用できると思います。

大切なのは洗濯機。子ども達のお漏らし、嘔吐なども先生方は手洗い場で処理をします。
そのまま洗濯機に汚れものを入れられるように、水回りはまとめておくと効率的です。
稀に洗濯機が屋外にある施設がありますが、一時的であっても子ども達から目を離すことになりますし、ちょっとした合間に処理することができません。
保育の現場はとにかく時間との闘い。子ども達の様子を見ながら、僅かな合間を縫って、先生方は様々な雑務をこなします。全ての設備や備品がコンパクトにまとまっていることが、子ども達に手をかけられる時間を増やし、「安全」につながります。

・手洗い場
手を洗うという行為は、トイレの時だけでなく日常的に頻繁にあることなので、手洗い場は保育室に近い場所にあった方が便利です。トイレとは別に、保育室の中に設置しても良いでしょう。
玄関、トイレ、手洗い場、調理室、収納、お庭 ③
蛇口のハンドルは昔ながらの回すタイプが最適です。
上下・左右にすると簡単に水が出るタイプの今どきのハンドルは、子ども達にとっては面白いおもちゃとして格好のいたずらの対象。
お水、大好きですから。ゆえに、水が出っ放し状態に汗
子ども達の気持ちもわかりますが、それはもう大変!

今どきタイプのものを使わなければならない時は、ハンドルを取って対応していますが、頻繁に使うような室内には不向きですね。

トイレや手洗い場などの水回りのスペースに余裕があれば、浴槽があるとなお良いと思います。
夏場に子ども達がお散歩から帰ってきた時、嘔吐や下痢で体が汚れてしまった時など、浴槽に入れて汗や汚れを流すことができると、子ども達も落ち着きますし、とても便利です。

・調理室
まずは、給食についてのデータを見て頂きたいのですが、保護者がお弁当を用意46.6%、施設内調理33.0%、外部給食サービス11.4%、社員食堂8.0%となっています。
(経済産業省 平成21年度サービス産業生産性向上支援調査事業(事業所内保育施設等実態調査事業)報告書による)
以上を踏まえ、ここでは、約半分程度の施設が採用しているお弁当の場合を基準に説明します。

給食を用意する施設はもちろんですが、給食がない施設でも簡易的なキッチンは必要です。
夏場の子ども達のお弁当やおやつを冷蔵庫にしまう、電子レンジやお湯でミルクや離乳食を温める、食べ残しの処理をする、おやつのお皿を洗う・・など、利用頻度はかなり高いので、保育室の近くが便利です。
そして、今まで読み進めてくる中で、事業所内保育施設はお子さまの「安全」が第一であることは十分ご理解いただけたと思いますが、調理室についても同じです。
私達は施設が火元にならないように、基本的にガスは使用せず、元栓から締めてしまいます。
子ども達の命を守る施設で、絶対に災害を起こしてはならないからです。
その代り、防災時用のカセットコンロがあれば、大概のことは対応できると思います。

・収納
保育施設でいう収納するものとは大きく2種類あります。
子ども達の布団やタオルケット、各種タオル、予備の着替えやおむつなどの衛生用品と、どんどん増える教材と玩具。こちらは、できれば分けて収納すると良いでしょう。
衛生用品はお昼寝をする場所、教材類は保育室の近くなど。
衛生用品も、教材類も、季節によって使うものが異なりますので、随時入れ替えが必要です。
物品を効率よく使いこなせるように、全てが見えるような作りにするといいですね。
収納はできる範囲の広さでデッドスペースを利用するのが良いと思います。
保育士の部屋を設けるのが難しい場合は、収納の中に鍵付きの棚(キャビネット等)を1台用意してください。お子さまの個人情報や保育関係の書類を収めます。

・お庭
今にも雨が降りそうでお散歩に行くのに迷うような時、活動後の空き時間、お迎えを待っている時間など、ちょっとした時に外で遊べる場所があると助かります。広くなくてもいいのです。
小さなお子さまは、〝たくさん食べて、たくさん遊んで、たくさん寝て〟が生活の基本。
毎日の戸外遊びは様々な成長を促し、お子さまの情緒を安定させる意味でも非常に大切です。

できれば、庭にはお砂場と木陰を。ほか、夏にプールが出せるスペースがあれば十分ですね。
逆に、すべり台、ブランコ、鉄棒などの遊具は、固定設置してしまうとスペースを取るばかりか、年齢によって使えるものが限られているので、無駄になることもあります。どんな年齢・月齢のお子さまでもそれなりの遊び方ができ、大きな危険が伴わないお砂場が最適でしょう。

もちろん、お庭がない施設も多いと思いますので、その場合は周辺に公園が何ヵ所かあればいいと思います。木や池があって自然を楽しむ公園、遊具がある公園、思いっきり走る広場がある公園、ちょっと頑張って歩かせる場所にある公園など、いくつかパターンを用意して、その時々によって使い分けるようにすると良いと思います。その辺は、先生方にお任せしましょう。


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1.設置場所(立地)
1.設置場所(立地)(2015-08-21 07:19)


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