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HOME > 第1章 事業所内保育施設を つくりたい!その前に。

施設運営事例<委託>

こちらは、事業所内保育施設の委託運営状況の例です。
当社が運営しているものばかりではありませんが、その施設で働く保育士から取材をさせて頂きましたので、ほぼ実態に近いのではないかと思われます。
それぞれの施設に特徴も悩みもあります。その辺を少し解説していきましょう。

Aは、地元の大手企業3社合同で設置した施設です。
十分な広さの敷地、且つ人員配置も潤沢な費用をかけて運営されていることが解ると思います。
しかし、支店や営業所等が県内外に散らばっているため、また、ある企業の近くに設置したことで、限られた会社の、限られた人のみが利用できる状況が福利厚生としてどうなのか?という疑問を持っている従業員は多いと聞きます。
保護者が負担する保育料が若干高めなのは、その辺のことを考えてのことかもしれませんね。
運営費は、利用者の人数で各社が按分負担となっていますが、それにしても、この定員の施設にしては、費用がかかり過ぎではないでしょうか。

Bは、市営の総合病院の院内託児所です。こちらの悩みは、保育士の確保と安定勤務
とにかく保育士の入れ替わりが激しい現場で、保育に関する意思統一が取れないと、現職の保育士が嘆いているのです。原因は、請け負っている保育事業者が遠方にあること(全国展開の大手)、そして、保育現場に明るくないことが保育士との意見の衝突を生んでいるようです。
園長を務めている方が20代で、経験も豊富ではないことも大変そう。
いつも不安な状態で保育をしているようで、話を聞いていてお気の毒になってしまいました。

Cは、やはり市営の総合病院の施設です。こちらは長年直営で運営してきましたが、経費削減のためということで、平成25年3月に委託に切り換えました。
確かに、お子さまの人数(31名)に対して、運営費は高めです。正規職員の数も多すぎですね。
定員(60名)にあわせた採用をしてしまったのでしょう。実態を考えれば半分で良さそうです。

さて、この施設。委託したのは、やはり全国展開している大手の保育事業者でした。
経費削減が目的でしたので、直営時の保育士を全て解雇し、新たな体制でスタートしました。
「全員辞めて頂きます。」とその保育事業者は、旧保育士を前にして宣言したと言います。

結果、それがうまくいかず、保育士は短期間で退職を繰り返し、なかなか安定しませんでした。
当然十分な保育が提供できなくなり、保護者への報連相は疎かになり・・・直営時(平成25年3月)に31名いたお子さまは、半年後の平成26年10月時点で、1~2歳児がたった4名というところまで落ち込んでしまったのです。
そこで、保育事業者は以前の施設長(園長)を呼び戻し、立て直しを図ったとのことでした。
運営を切り替える時は、保護者や先生方に対しての十分な配慮が大事だということです。

Dは、サービス業を営む企業の施設です。多くの従業員が利用できるように、各店舗の中心地域に設置しました。こちらの施設の特異性は、保護者がシフト制で勤務しているということ。
よって、預かるお子さまの数が1~28名/日と幅があるため、保育士配置に難しさがあります。
パートの保育士を多めに採用しているのは、その辺の柔軟性を持たせるためなのでしょう。

こちらの悩みは、保護者が負担する保育料が無料だということ。そして、兄弟姉妹の問題です。
無料に対する保護者の執着は大きく、両親のどちらかがお休みで家庭保育が可能な場合でも、お子さまを預けるという現象がおきるのです。加えて何人預けても無料なので、定員が兄弟姉妹でいっぱいになることもあるとか。
設置企業側にも、採用が厳しいサービス業ならではのジレンマがあるのかもしれませんね。

Eは、地元で比較的大きな個人病院が設置した施設です。
保育事業者には、保育内容よりも、知識や実績よりも、徹底的な安さを求めました。
大手よりも地元の業者の方がコストが抑えられると思ったのでしょう。コンペを実施した結果、開設時に依頼した業者は、立派なHPを持ってはいるものの施設運営の経験がない会社でした。
そのため、開園を1ヶ月後に控えた直前に、突然辞退してしまったのです。
この状態を引き継いだ事業者は、1ヶ月も満たない時間の中で、全ての準備を行いました。
前事業者が残していった素人仕様の備品やおもちゃに苦慮しながらやっとの思いで開園したものの、設置企業のコスト重視の考え方は変わらず、その後も保育や子ども達への安全に対しての理解は得られなかったため、常に設置側と運営側との気持ちが交わることはありませんでした。
加えて、利用者がいるわけではなく、補助金を得るために担当者のお子さまを預かるという状態が続き、とうとうその保育事業者もこの会社からは手を引くという結果となりました。

一口に事業所内保育施設といっても、様々な悩みや問題を抱えていることがご理解いただけたと思います。これは、委託だから?・・・というわけではないんですよ。
実は、直営には直営の悩みもあるのです。次回は、直営施設の状況をお話しましょう。


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